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圧縮空気の『乾き具合』は露点温度だけでは分からない ~ 第640号 ~

露点温度が低い=乾燥している

> 以前より、当社では圧縮空気(圧空)の品質測定サービスをご提供しています。サービス開始当初は医薬品業種のお客様の割合が多かったのですが、ご依頼を頂く業種が、食品のほか各種製造業種のお客様に広がってきています。

いくつかある圧空の品質項目のうち、先日『材質一つで露点温度は大違い!圧空配管材の影響』で露点温度に対する圧空配管材の影響について取り上げましたが、今回はその露点温度そのものがテーマです。

露点温度はご存じの通り、気体を冷却したときに結露(凝結)が起こる温度です。飲み物のグラスにできる結露💧はよく見る光景ですが、空気が乾燥していれば、空気中の水分が少ないため、氷点下まで下げても結露💧しない状態になります。

ですので、露点温度10℃と露点温度0℃の空気を比べた場合、『基本的には』露点温度0℃の方が乾燥しているといえます。

しかしながら、お客様の工場で“圧空の”露点温度を測り、露点温度がA地点で10℃、B地点で0℃であった場合に、露点温度の低いB地点0℃の方が乾燥しているとは『必ずしも』言えないのです。

■ 『基本的には』とか『必ずしも』とつけたのには理由があります。

測定条件次第で、『乾き具合』の逆転が発生

> 『基本的には』や『必ずしも』とつけた理由は、露点温度には、それを表すために重要な測定条件があるためです。

■ その測定条件は『圧力』です。

圧縮空気はその言葉の通り、空気が圧縮されたものです。

ぎゅーっと1/10に圧縮された空気(圧空)は、大気に解放すると元の体積(10倍)に戻ります。圧空に含まれていた水分量は変わらないので、単位体積当たりに含まれる水分量が少なくなって、露点温度は下がります。

つまり、同じ空気でも、圧空(高圧)か、大気圧かの圧力で露点温度がコロコロ変わる、ということです。

例えば、(0.69MPaの)露点温度10℃と、(大気圧の)露点温度0℃を較べた場合、乾燥しているのは前者です。(0.69MPaの)露点温度10℃の空気を大気圧にすると、露点温度が-17.3℃@大気圧となり、露点温度の数字だけ較べた場合と乾き具合が逆転します。

露点温度には欠かせない『圧力条件』

> このように、同じ空気でも圧力次第で露点温度が変化するため、露点温度だけでは乾き具合が特定できません。

一般に、圧縮空気の設備は用途に応じた圧力に調整され、場所ごとに圧力が異なるため、露点温度の情報だけでは、乾き具合が分からないということになります。そのため、露点温度を表すときは、圧力条件を合わせて知っておく必要があります。

当社も露点温度を測定する際は、同時に圧力計も測定配管に設置し、露点温度と圧力条件の二つを揃えて乾き具合を明確にしています。

場所ごとに圧力が異なる露点温度も、圧力条件を揃える換算をすることで較べることができるようになります。

※ 冒頭で『基本的には』、“露点温度10℃と0℃では、0℃の方が乾燥している”としましたが、この『基本的に』は『圧力条件が同じ』ことを意味していました。

「露点温度測定」および「圧縮空気(圧空)の品質測定」についても「無料オンライン相談会」からご相談していただくこともできます。


※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。

最後まで、お読みいただき有難うございました。