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冷凍庫内の物が停電時にモノをいう。意外と保冷効果がありそう。 ~ 第652号 ~

台風や雷の季節。突然おきる停電。

> お盆休みを直撃した台風の際、停電への備えとして『ペットボトルの氷を予め凍らしておき、停電になったら冷蔵庫に移すと冷たさが保てる』という情報をインターネットニュースで見かけました。

台風がいつ来るかは天気予報で分かりますが、夏場のはいつ来るかなかなかわかりません。停電時間の長短は状況次第なため、やはり事前に準備できる場合は、備えておくことが大切です。

冷凍庫や冷蔵庫の停電への対処として考えられるものとしては、停電用電源の準備、蓄冷材などが考えられます。少し大がかりになりますが、製品によっては停電やトラブル時の温度上昇の際に庫内に液化炭酸ガス・液化窒素を噴霧する自動補助冷却装置を備えるものもあるようです。

今回は、手軽な蓄冷材として、「氷」を用いた場合にどの程度違いがあるか、冷凍庫に氷がある状態と、無い状態で停電が起きた場合、内部の温度がどう違いがあるのか実験してみました。

1Lちょっとの「氷」でも結構差が出た

> -85℃の低温フリーザー(チェストタイプ(上開き))で実験しました。

測定条件

対象:低温フリーザー(チェストタイプ(上開き))
設定:-85℃
容積:90L
測定時間:5時間
氷(蓄冷材)
 500ml ペットボトル × 2本
 50ml スナップコニカル × 2本
 20ml スナップコニカル × 2本
 1.5ml 凍結チューブ × 2本

停電5時間後の温度 単位:℃
測定位置 空っぽ 氷(蓄冷材)あり 温度差
-7.7 -17.5 -9.8
-9.3 -21.4 -12.1
-11.9 -26.8 -14.9

結果、停電(電源断)5時間経過時点で、「氷」がある状態と空っぽとの温度差は10℃以上ありました。

容積90Lの低温フリーザーに対し、「氷」は500mlペットボトル2本と小型容器150mlあまりしかないため、-85℃で保管するものを長時間維持できるような能力はもちろんありません。

しかし、1Lちょっと程度の「氷」しかないので、誤差範囲の差しか出ないかと測定前は思っていましたが、意外と大きな差がでたと感じました。

『いざ!』の対応を事前に考えて、確認しておくことが大切

> 停電は突然起きます。しかし、停電時の対応を事前に検討し、停電時用電源、蓄冷材、液化炭酸ガス、液化窒素ガスのバックアップ装置など、ハード面の対処がされていると安心です。

今回は、冷凍庫が殆ど空っぽに近い状態でしたが、実際は入っている保管物が蓄冷の効果を出すため、より大きい保冷効果があります(温度上昇が緩やか)。

また、保管物は、庫内の空気の温度に比べて緩やかに変化するため、短時間の停電では(殆ど)影響がでないこともあると思います。

しかし、庫内の保管量や温度上昇に対する許容度など、お客様や部署によって使用条件は様々です。

いずれにしても、停電時に庫内温度や保管物がどうなるかについて、事前に確認しておくことが大切です。

当社では温度分布だけでなく、停電ドアの開け閉めした際温度推移の測定の実績もございます。気になる方は是非、フィールドの営業マンへのお声がけ、またはこちらへお問合せください。

「薬用保冷庫・薬用冷凍冷蔵庫・低温インキュベーター・超低温フリーザー」についても「無料オンライン相談会」からご相談していただくこともできます。


※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。

最後まで、お読みいただき有難うございました。