第552号 工場立会検査と現場のIQの実施項目で同じ項目があった時の対応について
工場立会検査(FAT)と現場のIQの実施項目に同じ項目がある
> 多くの製剤設備では、工場立会検査(FAT:Factory Acceptance Tests)が実施され、性能などが確認された設備が使用者の現場に設置されます。
この設置時には、IQ(設備据付時適格性評価)が行われ、キチンと設置されていることを確認されるのが一般的な流れだと思います。
■ この場合、FATで実施される内容と現場のIQの内容で同じ項目を実施される場合があるときどのように考えたらよいのかというのが今回のお問い合わせになります。
※ この時の当社の考え方をご紹介したいと考えました。
同じことを2度も実施する必要がないという考え方があります
> このことに関する一つの考え方として、平成22年10月21日日発食監麻発1021第11号に発出された医薬品・医薬部外品製造販売業者等における「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」では以下の様にダブって実施しなくても良いと記載されています。
※ 確かに、上記の青字のようなシステムで、そのシステムを工場⇒現場に輸送した場合はダブり作業として取り扱って、2度実施する必要が無いと考えられます。
PIC/Sも同じような考え方があります
> PIC/SGMPガイドラインアネックス15クオリフィケーション及びバリデーションにも同じような考え方があります。
注目点は、『輸送 及び設置により機能が影響を受けないこと』になると考えられます
※ コンピュータ化システム適正管理ガイドラインでの「適切と認められる場合」についての判断材料のひとつになると考えます。
結論⇒ダブり作業は行う必要がない
> この2つの規格に記載されている内容から、工場から現場に移動させたときに実施結果に影響を及ぼさなければダブり作業として実施する必要がないと考えられます。
■ 例えば、機械を取り付けるために加工された寸法は、現地での機械と付け時に重要な寸法のため立会検査で寸法測定されることが多いと思いますが、この加工寸法は変わることのない寸法のため輸送などで変化することがないことが分かります。
従って、この取付寸法は、現場でのIQで実施する必要がないと言えます。
■ 反して、精密機器などの性能は、輸送時の振動などでなんらかの影響が及ぼされることが容易に想定できると思います。
従って、このような機器の場合は、現場でのIQとして、必要となる最低限の性能確認を実施する必要があると考えられます。
このように考えることで、最適なバリデーションを実施することができると考えます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。