第416号 キャリブレーション(calibration)と校正の言葉は同じ使われ方?
所属する業界によって、キャリブレーションの理解の範囲が違うようです。
あなたにとっては『キャリブレーション(calibration)=校正』でしょうか
>製剤や医療機器などの業界では、使用する計測機器の正しさを確認する作業名にキャリブレーションという言葉が頻繁に用いられています。
しかし、機械加工など一般の製造業では校正という言葉が使用されていることが多いと感じます。
□キャリブレーション(calibration)の邦訳を調べてみると「較正」となっています。
「較正」をWikipediaで調べてみると
較正が本来の表記だが、「較」(コウ)は常用漢字の音訓表にない読みのため、校正(こうせい)またはこう正と表記することもある。と記載されています。
■従って、ひとつの結論としては
『キャリブレーション(calibration)=校正』という式が成立する
※しかし、この結論が全てであれば、「キャリブレーションと校正は同じと思っていたけどどう違うんですか?」といった問い合わせも無いと思います。
そこで、他にも答えがあると考えて、キャリブレーション(calibration)が使われている規格での邦訳を調べてみることにしました。
意外にも、邦訳していない規格がありました
>ISO、製剤向けのPIC/SGMP、原薬製造向けICHQ7の3つの規格でCalibrationの訳され方を調べてみました。
※このように、製剤向けのPIC/SGMPだけが校正と訳さないで、そのままキャリブレーションと訳されていることが分ります。
製剤業界向けの規格(PIC/S)は『キャリブレーション(calibration)≠校正』という式になる。(キャリブレーションは校正と訳されない)
何故、規格によって、訳され方が違うのでしようか
>考えられることは、calibrationをキャリブレーションと訳する製薬業界では言葉の意味、言葉の使われ方が違うということだと思われます。
□製剤業界では、バリデーションが規格で要求されているため、計測器が今までキチンと使われて来たということとこれからもキチンと使えることを確認する必要があります。
このことが、使われ方の違いになっていると考えられます。
製剤業界では『calibration=校正+調整』になる
>計測器を規格の要求に満足させるために
校正によって、今までキチンと使えたということを確認し、調整と校正にによって、これからもキチンと使えるということを確認していると考えます。
■このような理由で、製剤業界ではキャリブレーションという言葉を使用して、機械加工などの一般の製造業で使われている校正と一線を引いたと考えるのではどうでしょうか。
『キャリブレーション(calibration)=校正+調整』という式が成立し、キャリブレーション(calibration)と校正の言葉は同じ使われ方をしていないと言えると考えます。
※当社は、フィールドでバリデーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具現化(具体化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。