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第335号 恒温槽の挿入孔の蓋が開いている時の槽内温度への影響を調べました。

もし、挿入孔の蓋が開けっ放しになっていたら!

恒温槽によっては、槽内にヒータや温度センサを入れるために、ケーブルを通す孔(挿入孔)が設けられていますが
この挿入孔のカバーや栓がアクシデントで開いたままのとき、槽内温度に影響して保管している製品がオシャカになる恐れもあります。
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そこで、前回の扉隙間の実験のように、温度変化を確認しておく必要があると考えました。

意外にも、挿入孔の蓋の有無による大きな温度変化は見られませんでした

この実験は、まず、恒温槽の挿入孔に蓋をした状態で槽内温度を測定し、次に、蓋の無い状態(オープン)状態で槽内を測定し、双方の温度を比較しました。
□実験のやり方は
 1.槽内の4ヶ所(①吹き出し口、②吸い込み口、③中央、④槽入孔
   付近)に温度センサを取り付ける
 2.恒温槽の温度を40℃に設定する。
 3.庫内温度が安定することを”データ収集用PC”で確認する
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□使用測定器の仕様
 ・データ収集装置
  メーカ:横河電機型式:DA100
 ・温度センサ
  ①~④:テフロン被覆T熱電対クラス1
□対象装置(低温恒温槽)の仕様
 ・型式:MC-71
 ・槽内寸法:H:400xW:400xD:400(mm)
□測定結果とグラフ
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■実験結果より
 ・各点の平均温度は40±1℃以内で、ほとんど同じ温度になる
 ・各点の最大-最小値は0.2℃と温度変動は少ない
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■実験結果は(1)蓋の有る状態とほぼ同じ温度傾向になる
(3)蓋の有無の差異:(1)のデータと(2)のデータの差を求めます
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■今回の実験においては、
 ・各点の平均値の差は0.2℃以内で、ほぼ同じ温度になる
 ・各点の最大-最小の差は0.1℃以内で、温度の変動は同じになる
このように、前回の隙間の有無と同じように、蓋の有無でも、ほぼ差異が出ないことには、少々ビックリしました。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により
 計測値は異なります。

挿入孔の蓋が無くても、本当に、槽内の温度に影響しないのか!

今回の実験時、挿入孔の蓋がオープンの時に、挿入孔から勢い良く風が出ていることに気がつきました。
⇒それによって、外部の空気が庫内に入り込まないので、庫内温度が変化し難くかったのではと考えられます。
□しかし
 庫内の風速が弱かったり、挿入孔の孔径が大きいと、外部から空気を
 吸い込みやすく庫内温度に影響する可能性があると考えます。
従って、どんな使用条件の恒温槽も、挿入孔をキチンと塞いで使用する
ことがベストな使い方と考えられます。

それでも、挿入孔が締め切れない状態で使用しなければならない

現場で、どうしても挿入孔を締め切れないない状態で使用しなければならないときには、外から空気を吸い込まないように、隙間をパテ(ペースト状の充填材・接着剤)などで塞いでから使用することをお勧めします。

※当社は、
 この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな
 環境においても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする
 努力を続けています。