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第453号 測定器(計測器)新規購入時、校正証明書・トレーサビリティ体系図は必要か

測定器(計測器)新規購入時、校正証明書やトレーサビリティ体系図は必要ない?

今回のお問合せは

測定器を新規購入時、精度が担保されていると考えて、校正証明書・トレーサビリティ体系図は必要ないという考えがありますが、一般的にはどうなんでしょう

と言うもので、実際の現場でやっとこの議論が出てきたことに感慨深いものがあります。


■このお問合せの中での重要なポイントになることは
新規購入時の「校正証明書(注1)」「トレーサビリティ体系図(注2)」は、測定器を製造した企業の環境条件で校正された測定器の書類だと言うことです。

注1)
校正証明書とは、校正機関が校正を実施した証明になるもので、校正実施機関が準拠している基準および校正された機器が国家基準/国際標準にトレーサビリティが確立していることが証明されているもの

注2)
トレーサビリティ体系図とは、校正に使用した標準器が国家基準や国際標準までの経路がわかるもの

※最初に、何故、このような話が出てくるのか
 まずは規格ではどのように考えているのかを読み解きたいと思います。

測定器(計測器)の正しさは、使用現場の環境で確認しなければならない

GMP規格のバリデーション基準においては

《設備据付時適格性評価(IQ)》では次の様に定められています。

設備据付時適格性評価(IQ)
設備、システム又は装置(計測器含む)が、承認を受けた設計及び製造業者の要求と整合することを確認し、文書化すること

《この要求を読み解くと》

【測定器(計測器)の場合では】

使用現場で使用者の要求通りに動くことを確認する

と言うことになると考えます。

□しかし、
購入時の検査成績書、校正証明書、トレーサビリティ体系図で記載された内容は測定器(計測器)を検査した場所の値であって、規格が要求する使用する現場での値ではありません。

従って、
測定器新規購入時の「校正証明書」や「トレーサビリティ体系図」は規格要求を満たしていないため、必要はないと言うことになります。

※もう少し、話を進めてみます。

では、規格の要求を満足させるためにはどうしたら良いのかですが・・・。

規格に基づいて、(ループ)キャリブレーションを実施する

医薬品製造においては、厚生労働省のGMP規格のバリデーション基準の要求に基づいて校正を実施することになりますので

□そのGMP規格のバリデーション基準が求める校正

「校正」とは、
必要とされる精度を考慮し、適切な標準器や標準資料等を用いて製造行為中に使用される計測器の表す値と真の値との関係を求めることをいう。


この要求の重要な点は校正の対象が「製造行為中に使用される計測器」と示されていることです。
校正は製造時の状態で実施する必要があると言うことで、(一般的に)センサから表示器までのループの状態で校正する必要があります。

即ち、製造現場の環境でループ校正を行い、その時点の「校正記録書」「校正証明書」「トレーサビリティ体系図」が必要になるということになります。

※これで規格が要求する校正(キャリブレーション)を実現することができると考えます。

新規購入時のコストダウンに少しは貢献できると思います

GMP規格の要求では、測定器(計測器)新規購入時、「校正証明書」「トレーサビリティ体系図」を一緒に購入しても使用することができませんので

購入時の「校正証明書」「トレーサビリティ体系図」の購入を見直すことで、書類と言えども、計測機器の使用台数が多ければ多いほどそこそこの金額になり、少しはコストダウンに貢献できるのではと考えます。
但し、購入時に必要な書類が取り決められている場合は該当しません。

※当社は、フィールドでバリデーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具現化(具体化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。

最後まで、お読みいただき有難うございました。