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第387号 性能試験に使う模擬負荷の水量で評価結果が分かれる

何故、冷蔵庫などの性能試験に「水を入れた容器」を使うのか?

当社では、「水を入れた容器」を模擬的な負荷と呼んでいます。
この模擬的な容器内の水の温度変化を測定することで、冷蔵庫などの性能を評価しています。
一般的に、冷蔵庫内の温度は上下変動を繰り返しますので、性能評価のひとつとして、その上下変動する幅を指標にすることがあります。

例えば、
変動幅が小さければ要求を満足する冷蔵庫、変動幅が大きいと要求を満足しない冷蔵庫、のような考え方になります。

※そこで、水の量と温度変化の関係を実験で確かめてみたいと思います。

4種類の水の量で温度変化を比べてみました

この実験は、「水量の違う模擬負荷」を冷蔵庫内に設置し、模擬負荷(水)と庫内温度を温度データロガーで測定します。

□模擬負荷と温度データロガー
HP38711
※今回の実験では、水量の異なる模擬負荷と、温度データロガーを4セット使用しました。

□模擬負荷の水量
HP38710

□使用測定器の仕様
・温度データロガー メーカ:T&D / 型式:RTR-502
・温度センサ 型式:TR-5106(90%応答空気中 80秒、攪拌水中 7秒)

□測定結果
HP38750

・模擬負荷ごとの温度値、温度差
38751a

■今回の実験においては、
 ・水の温度変動(幅)は、庫内温度(空気)の約1/2以下になった。
 ・水の量が多くなるほど温度変動(幅)が小さくなる。
  (今回の結果の平均温度の差は、置いた場所による影響が生じていると考えます)

このように、水による温度変化への影響が結構あることが分かりました。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は異なります。

実験の温度変動(幅)の大きさには「熱容量」が影響していると考えられる?

今回の実験のように、模擬負荷の水の量によって温度変動(幅)の違いが生じる理由を考えてみると
⇒各々の「容器+水」の熱容量が違うことで生じると思われます。

ここで、チョット学生時代にタイムスリップして頂いて
「熱容量とは、ある物体の温度を1[K]上げるのに必要な熱量」のことだったなぁー、と思い出していただけたと思います。

⇒従って、水の量が多いほど熱容量も大きくなり、温度上昇・下降に時間が掛かる(温度変化に対する反応が鈍くなる)ため、今回の実験のように、温度変動幅が小さくなるという結果になったと考えられます。

模擬負荷の水の量によって、評価結果が分かれる!

今回の実験結果で重要なことは
温度変動幅を見て性能評価を決める場合、同じ冷蔵庫でありながら、模擬負荷の水の量で評価結果が分かれる可能性があるということです。

例えば、評価基準を変動幅±1.0とした場合
同じ冷蔵庫でありながら、③は基準内、②は基準外となって、評価が分かれることになってしまいます。

□従って、
水の量は、冷蔵庫の評価結果に大きく影響することになりますので、水量による温度変動幅等を考慮して、慎重に選定することが必要と考えます。

次回、水が使えない低温・高温に使用できる模擬負荷をご紹介します。

今回実験した水を使った模擬負荷では、水が凍るような低い温度や水が蒸発する高い温度には使えません。
次回、低温・高温に使用できる模擬負荷とその温度変動を実験してお届けする予定です。

※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境においても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。

最後まで、お読みいただき有難うございました。