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第378号 [GDP関連]保管した製品温度は(市販されている)コンテナの種類・構造によって結構変わる!

医薬品の適正流通基準(GDP:Good Distribution Practice)が話題に!

ご存知のように、C型肝炎治療薬ハーボニーの偽造品流通問題を受けて設置された厚労省医薬・生活衛生局の検討会において、国際的な基準「医薬品の適正流通基準」(GDP)ガイドラインについて制度化の必要性を指摘する意見が相次いだとの報道もあります。

そして、WEB上にも、輸送・保管における医薬品品質確保のための温湿度管理、グローバル化への対応などGDPに関わる話題満載となっています。

□前回はGDP規格に必要になりそうな、コンテナの断熱効果(温度・時間)のデータを収集しましたが、
 今回はそのコンテナに保管した製品の温度変化を調べました

市販されている2種類のコンテナで、40℃の車内を想定して実験しました。

構造や材質の違うコンテナ『A』と『B』を使用しました。
HP37701a
□『A』のコンテナ(右図)
断熱材に発泡ポリスチレンを使用しプラスチックの板でサンドしている。


HP37701b

□『B』のコンテナ(右図)
断熱材のみの構造で発泡スチロールを使用している。

※今回も、この2つのコンテナを使って実験しました。

実験温度は、医薬品等を車で運搬する時、夏場にはクーラーを使っても車内が40℃ぐらいまで上昇することを考えて、40℃での実験を行うことにしました。

水(20ml)を入れたガラス容器を製品に見立てて温度測定しました。

この実験は、
 ・製品に見立てたガラス容器に水20mlを入れ、コンテナと共に、冷蔵庫で冷やす
  (概ね15℃前後)
 ・次に、40℃に安定させた恒温槽にコンテナ+ガラス容器を入れて
 ・ガラス容器内の液温の上昇度合いを測定します。

[使用したガラス容器の概要]
  材質  本体:ガラス  キャップ:ポリプロピレン
  大きさ φ32mm、高さ69㎜(概寸)

○測定した温度データから
 温度上昇が遅いコンテナと早いコンテナが分かり、遅いコンテナの方が断熱効果
 が高いと判断できると考えます。

■前回のメルマガの実験では、コンテナ『A』の方が断熱効果が高かったので、
 今回の実験では、温度上昇が遅い結果がでると思われます。

思った通り、『A』のコンテナに入れたガラス瓶の方が、温度上昇が遅いことが分かりました

この実験は、低温状態のコンテナ+ガラス容器を⇒40℃の恒温槽内に入れてコンテナ表面とガラス容器内の液温を測定しました。

□実験の測定システムの概要
HP37810

□測定結果のグラフ
HP37811

□温度到達時間の差(同一温度までの到達時間)
HP37812c

●温度上昇の遅れ方は、『A』のコンテナの方が1.6~1.9倍程遅くなっている。

※思ったように、『A』のコンテナの断熱効果が良いと考えられる結果になりました。

やはり、使用状況に合わせて確認することが必要と考えます。

今回の実験のように、同じようなコンテナでも製品に見立てたガラス瓶の液温は大きく変わることが分かりました。

□液温が変化する要因としては
・コンテナの構造
  今回の実験では、断熱材をプラスチックの板でサンドしたことが断熱効果に影響したと考えられます。
・断熱材の種類
  断熱材の種類も断熱効果に影響したと考えられます。
・容器の種類
  今回の実験では、取り上げていませんが、容器の材質の違いも影響すると考えられます。
 他に、製品の種類や量など様々なことが考えられると思います。

■このように、液温が変化する要因は様々あるため
 使用されるコンテナや保存する製品でその使用状況に合わせて確認することが大事と考えます。



なお、当社ではこれらの確認に使われるような温度計の校正も承っています。
 お客様の要望や使用環境に応じて、お客様にあった校正方法を提案し、対応させて頂きますので、
 ご要望が有りましたら、是非お気軽にお声をかけて下さい。

※当社は、
 この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境においても、
 お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。

最後まで、お読みいただき有難うございました。