第311号 ワクチンなど庫内に置いた製品とその代替品(熱緩衝物)の温度が 同じ状態になるか確認しました
ワクチン等の製品の温度を管理しなければならないが直接製品の温度が測れない!
製品の保管温度を管理するには製品自体の温度を測定するのがベストだと考えます。
しかし、実際、容器に保管している製品ひとつひとつの温度を測定するために、製品内に温度計を挿入することは、製品の品質確保の面からも難しい事と思います。
□今回の実験は、
直接製品の温度を測れないのなら、「熱緩衝物を使った方法」で
製品の温度を知ることができないかを実験で確認してみる
というものです。
製品の温度と熱緩衝物の温度は、ほぼ同じ傾向になりました。
この実験は、前回の実験で熱応答を数値化した時定数が、同じになった「製品に見立てた水(20ml)を入れた容器」と「エチレングリコール(30ml)を入れた容器」を冷蔵庫に保管して、温度変化を測定します。
□この2つの温度データがほぼ似たような温度であれば、
「エチレングリコール(30ml)を入れた容器」で庫内温度を
測定することで、製品温度の管理が出来るということになると考えます。
[実験の概要]
1.庫内中央に、製品に見立てた水を入れたビンを置いて、
温度センサ②を中心部まで挿入する
2.ビン近くに、エチレングリコールが30ml入った庫内温度測定用の
温度センサ①を設置し、庫内と製品の温度データを収集する。
[測定システムの概要]
[測定結果とグラフ]
□測定結果から
・平均温度はどちらも、11.4℃で全く同じであった
・最大と最小温度の差は、製品温度の方が0.1℃大きかった
・グラフのように、温度の変化はほぼ同じ傾向になった
■これらの結果から、
熱応答(時定数)が同じであれば、各々同じ温度で
同じ変化傾向を示すといえると考えます。
従って、熱緩衝物を入れた容器(今回はエチレングリコール(30ml)を入れた容器)で庫内温度を測定することで、製品温度が分かるということになります。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
異なります。
熱緩衝物を使って庫内温度を測定する進め方を纏めました!
■進め方は(一例として)
①まず、製品の時定数を測定する(熱応答を調べる)
⇒時定数の測定の仕方は前回のメルマガが参考になると思います。
②次に、その時定数に近い熱緩衝物と量を調整して製品と同じ
時定数のものを決める。
⇒大まかな時定数は前回のメルマガのデータが少しは参考になると
思います。
③(上記の)熱緩衝物の時定数を測定して、製品の時定数と
同じになることを確認する。
④熱緩衝物を入れた容器を製品に近い場所に置いて庫内を測定する。
⇒こんな方法で、庫内温度を測定したデータ(熱緩衝物の温度)を
使って、製品温度を管理するのもひとつのやり方になると考えます。
時定数はどれぐらいズレてもよいか??
製品と同じ時定数を持った熱緩衝物と量を決めるのは、結構、手間になりますので製品と熱緩衝物の時定数のズレが実際の測定で、どのぐらい許容されるかも調べてみることにします。
これらのデータは、近々メルマガでご紹介予定です。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。