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第310号ワクチンなど製品の保管温度管理のため、製品の代替にできそうな熱緩衝物の応答性(時定数)を調べてみました。

使い勝手がよさそうな2種類の熱緩衝物の応答性を調べることにしました。

今回は、熱緩衝物として「エチレングリコール」「ガラスビーズ」を使い、熱容量を変えるため内容量を10、20、30mlの3種類ずつで実験します。
□エチレングリコール:アルコールの一種で、不凍液、溶媒等幅広く使われている
□ガラスビーズ:無色透明の球形(約0.1mmφ)のガラスのビーズ
HP31010.jpg
※一般的に、製品は庫内の気中に保管しますので、これら9種類の熱緩衝物の
応答性は気中での時定数(90%)で測定することにします。

熱応答は、ガラスビーズが最も早く、エチレングリコール⇒水の順に遅くなりました。

[実験の概要]
1.熱緩衝物を入れた容器(9本)を25℃⇒60℃の恒温槽に移す。
2.収集した温度データから時定数を求める。
今回の時定数は、25→60℃での90%の変化なので、
「56.5℃」に達する時間になります。
[測定システムの概要]:気中
HP31011.jpg
[測定結果のグラフ]
HP31012.jpg
□測定結果から言えることは
・同じ体積で比較すると、ガラスビーズの時定数が最も短い
 (ガラスビーズが最も温まりやすく冷めやすい)
HP31013.jpg
・製品に見立てた水(20ml)を入れた容器の時定数は、
 エチレングリコール(30ml)の時定数と同じになった。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により
 計測値は異なります。

水(20ml)とエチレングリコール(30ml)の熱応答は同じ動きになった。

熱応答は、それぞれの物質の持っている比熱(1gの物質を温度を1℃上げるのに必要な熱量)と質量を掛け合わせた熱容量が影響すると考えられますので
水(20ml)とエチレングリコール(30ml)の熱容量はほぼ同じであったと考えられます。
□逆に、
 質量や体積が同じでも、物質が違えば比熱が違うため、
 温まる速さに差が出るということになります。

熱緩衝物を使って庫内温度を測ったら、製品と同じ温度になるのか?

次回は、時定数が同じになった「製品に見立てた水(20ml)を入れた容器」と「エチレングリコール(30ml)を入れた容器」を冷蔵庫に保管して、温度変化を比較してみます。→比較してみました
□ほぼ似たような温度であれば、
 庫内温度を測定することで、製品温度の管理が
 出来るということが言えると考えます。
※当社は、
 この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境においても
 お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。