第309号 ワクチンに見立てた製品の温度と庫内温度の状況(差)を調べました。
ご存知のように、ワクチン等の製品には保存温度が決められています。
ワクチン等では『温度の保証=(ワクチン)製品品質の保証』ということで非常に厳しい温度管理が求められています。
しかし、例えば、ワクチンの最適な保存温度は2~8℃とされていますが、製品の温度を直接測れないため、キチンと分からないのが現状ではないでしょうか。
そして、庫内の温度と製品の温度には、差があるというのが実感ではないでしょうか。
□そこで今回は、
製品の温度と実際管理上測定する庫内温度がどんな感じになっているか、
どれぐらいの差があるのか調べてみることにしました。
製品の温度と庫内の温度は全く違った動きを示しました。
製品の内部温度と庫内温度を長時間測定し、温度変化や推移を比較しました。
[実験の概要]
1.庫内中央に、製品に見立てた水を入れたビンを置いて、
温度センサ②を中心部まで挿入する
2.ビン近くに、庫内温度測定用の温度センサ①を設置し、
庫内と製品の温度データを収集する。
[測定システムの概要]
[測定結果とグラフ]
□ 測定結果から
・庫内温度①は、約11~12℃の範囲内で、上昇・下降を繰り返した。
(この動きは、冷却停止・開始が幅をもって、温度制御されているため
と考えられる)
・製品温度②は、波を打っているものの、平均温度:11.4℃で推移した。
このように、保存温度と管理上測定している庫内温度とは、平均温度は余り変わらないが、温度の上下動の波形が随分と違うことが分かります。
■ ということは、
管理のため測定している庫内温度は、実際の製品の温度になって
いないところもあり、チョット気になるところだと思います。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
異なります。
何故、温度データに差がでてしまう時間があるのか?
実験から、この原因はセンサ部の熱容量の差と考えられます。
□ 温度センサ①は、センサ部が庫内にむき出しになっているので、
熱容量は小さい状態で温度測定している
□ 温度センサ②は、ビンに入った水を測定しているため、
水の量の熱容量で測定している
⇒ この熱容量の差が、温度データの波形の差になっていると思います。
従って、温度データに差が出ないようにするには、同じ熱容量にすれば良い
といえると考えられます。
次回は、熱容量の違った物質を準備して応答性(時定数)を測定してみます。
ここまでで、熱容量の違いは温度の応答性に現れることが分かったので次回、時定数を測って、応答性を数値化することにします。
※ 当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。