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第303号 同じ温度センサの液中と気中の時定数を比較しました(熱電対センサの場合)

(このメルマガは)お客様からのお問い合わせがキッカケになりました。

お問い合わせの内容は、同じセンサの液中と気中の時定数の違いが分かるものがないかというものでした。
□今までの関連するデータ等を調べてみても、
 色々なセンサの個々のデータをご紹介しただけで、同じセンサの
 液中・気中の時定数のデータはありませんでした。
■そこで、適格性の評価作業で良く使用される熱電対と測温抵抗体の
 センサで液中と気中の時定数を調べてみようと思います。

「液中」と「気中」の時定数には「ほぼ倍」の違いがでました。

今回は、適格性評価に使用される熱電対タイプの温度センサの時定数(90%)を測定します。
□使用する熱電対
 テフロン被覆T熱電対(クラス1):先端露出
[写真]温度センサ先端部
HP30301.JPG
□■□まず、液中の時定数から調べました。
[実験の概要]
1.温度センサを25℃⇒60℃の恒温水槽に移す。
2.収集した温度データから時定数を求める。
 今回の時定数は、25→60℃での90%の変化なので、
 「56.5℃」に達する時間になります。
[測定システムの概要](液中の場合)
HP30302.jpg
[測定結果とグラフ]
HP30350.jpg
■□■次に、気中の時定数を調べました。
[実験の概要]
1.温度センサを25℃⇒60℃の恒温槽に移す。
2.収集した温度データから時定数を求める。
 今回の時定数は、25→60℃での90%の変化なので、
 「56.5℃」に達する時間になります。
[測定システムの概要](気中の場合)
HP30351.jpg
[測定結果とグラフ]
HP30352.jpg
□測定結果から
・気中の時定数の方が、液中の約2倍になりました。
HP30380.jpg
・液中と気中のグラフを重ね合わせてみると
HP30371.jpg
明らかに、液中の温度上昇が早いことが分かります。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
 異なります。

滅菌時間などで適格性を評価するときには注意が必要です。

このことを実際の装置で考えてみると
例えば、乾熱滅菌器(空気下で制御:気中)とオートクレーブ(水蒸気で制御:液中)を同じセンサで温度を測ったとき、装置が同じ温度であっても、オートクレーブに使ったセンサの方が、早く応答することになります。
■この様に、実際同じ温度変化をしていても、バリデーションで測定した
 データは違ったものになりますので注意が必要と考えます。
□次回は、当社が実際に適格性評価に使っている熱電対センサで、
 同様の実験を行ってみます。
※当社は、
 この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
 おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。