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第290号 温度センサの時定数の大きさで生じる温度変化の違いを実機で調べました。[その2]

冷蔵庫の温度制御(ON-OFF制御)は温度変動が大きい!

>>今回実験に使用した冷蔵庫の温度制御の方法はON-OFF制御と
 呼ばれるものです。
[ON-OFF制御の様子]
HP29001.jpg
冷蔵庫のON-OFF制御では、庫内の温度がTH℃になる(×印)と
冷却が開始(圧縮機運転)され、TL℃まで温度が下がる(○印)と
冷却が停止(圧縮機運転停止)します。
このように圧縮機がON-OFFすることで温度を制御するため、比較的
大きな温度変動になります。
□今回の実験は、このような冷蔵庫内に、前回と同じ3種類の温度センサ
 を入れて庫内の温度を測定します。

応答性が遅い温度センサはどんな傾向を示すのか?

>>この実験では、応答性が最も遅い③温度データロガー(測温抵抗体)の
 温度センサの動きに大変興味を持って臨みました。
□3つの温度センサと時定数
HP29002.jpg
[実験の概要]
1.庫内の中央付近(同じ場所)に、3つの温度センサを置く。
2.低温(10℃付近)で温度が安定したらデータを収集する。
[測定システムの概要]
HP29010.jpg
[測定結果のグラフ]
HP29011.jpg
□測定結果から
・明らかに、③温度データロガー(測温抵抗体)の温度は①②と
 比較して、小さな変化をしていることが分かります。
・それぞれのセンサの振れ幅、平均値などで比較すると
HP29012.jpg
となり、どの温度センサも平均値や最大値は似通った数値になったが、
③のセンサの最小値は1.5℃ぐらい高い数値となった。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
 異なります。

装置の評価試験に使用するセンサを選定するとき注意ポイント!

>>センサの選定において、温度が低下し過ぎると品質に影響がでる
 製品を保管する冷蔵庫の評価試験を行うときには、応答の遅い
 (時定数の大きい)センサの使用には注意が必要になります。
□例えば、9℃~13度以内で保管しなければならない場合【グラフ中の
 保管範囲:赤色】実際の保管場所の温度は、8℃近くまで下がっており、
 本来であれば不適合となるはずです。
 しかし、最小値9.8℃までしか下がらないため、適合として判断
 してしまいます。
■従って、使用者の要求に合わせて、時定数の大きさも加味して、
 温度センサを選ぶ必要があることが分かります。
※今回の場合では、①②のどちらかのセンサを選定して評価試験を
 行うと良いということになります。

次回は、部屋を対象にして実験します。

>>次は、測定対象の容積が大きいときに、同じ3つの温度センサの
 温度変化がどんな感じになるか調べてみます。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。