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第288号 温度測定に使用する温度センサの応答遅れを調べました。[気中(空気中)]

保管用の設備・装置では気中(空気中)の温度を測定することが多い!

>> FSSC22000(ISO22000とPASS220(前提条件プログラム)を組み合わせた
  食品安全マネジメントシステム)では、保管に使用される倉庫や保管庫・
  保冷庫(冷蔵庫)なども適格性評価の対象になっています。
このような保管に使われる設備・装置では、保管の温度条件を満たして
いないと、保存された製品の品質に悪い影響を与えてしまいます。
そのために、設備・装置がそれぞれの条件を満たしていることを温度
センサを使って確認することになります。
□ 今回の実験は、これらの適格性評価試験に使用する温度センサの
  応答遅れを測定しましたので、ご紹介します。

驚き!時定数は、結構、大きな値になりました。

>> この実験は、適確性評価に一般的に使用される3つの温度センサの
  気中(空気中)の時定数(90%)を測定します。
  (温度センサは前回の実験 と同じものです。)
①テフロン被覆T熱電対(クラス1):先端樹脂キャップ付
②測温抵抗体(シースタイプ3.2φ)
③温度データロガー(測温抵抗体)
HP28701.jpg
[実験の概要]
1.まず、20℃と80℃の恒温槽を準備する。
2.3つの温度センサを恒温槽(20℃)に入れる。
3.恒温槽(20℃)→(80℃)に、各温度センサを移動させ、
  80℃になるまでデータを収集する。
4.収集した温度データから時定数を求める。
  時定数(90%)は、20→80℃の変化ですので、74℃になるまでに
  要する時間になります。
[測定システムの概要]
HP28810.jpg
[測定結果のグラフ]
HP28811.jpg
□ 測定結果から
・熱電対の時定数が最も短かったが、それでも60秒もかかっている。
・ロガータイプが(予想していたが)最も長くて、10分越えをしたことには
 驚きました。
時定数がこんなに長くなったのは、データを記憶するための回路などが
収納されている金属のケースが影響したものと思われます。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
  異なります。

気中の時定数は、液中より相当大きくなった!

>> 液中(前回の実験)と気中(今回の実験)の時定数を比較すると
HP28850.jpg
□ ③の温度データロガーは液中の約45倍となり、気中(空気中)を
  測定する適格性評価試験では、この時定数の大きさが試験結果に
  どんな影響がでるのか大変気になるところです。

時定数の大きさは、適格性評価試験結果にどれぐらい影響するのか?

>> 倉庫や保管庫などの適格性評価試験を実施したとき、これだけセンサの
  時定数が違うとセンサによって温度の出方が違うことが考えらるので
■ 次回は、時定数の値の違いが評価結果にどれぐらい影響するか調べてみます。
※ 当社は、
 この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
 おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。