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第287号 温度測定に使用する温度センサの応答遅れを調べました。  [液中(沸騰水中)]

最近、FSSC22000に関わるお問い合わせが多くなっている感じです。

FSSC22000は、Food Safety System Certificationの略で、ISO22000と
PASS220(前提条件プログラム)を組み合わせた食品安全マネジメント
システムになります。
□ この規格に関して、当社へのお問い合わせの多いものは
 ・滅菌器の運転時適格性の評価など
 ・倉庫や保管庫などの運転時適格性の評価など
 ・製造ラインに使用される圧縮空気の品質測定
 になっています。
□ お問い合わせの適格性評価では、温度測定のために色々の温度センサが
  使用されますがこの評価結果に温度センサの応答性が大きく影響する
  ことが分かっています。
■ そこで、今回は温度センサの応答性を調べるために「時定数」を
  測定することにしました。
※ 時定数とは?
  測定値の始点と終点の差の90%に要する時間をいいます。
  (但し、63.2%、50%の場合もあります)
例えば、0℃→100℃の変化を与えた場合、0℃→90℃に要する時間が
時定数です。
この値は、応答速度の速いものは小さく、遅いものは大きくなります。

センサによって、時定数(90%)の値は結構違った!

>> この実験は、適格性評価に一般的に使用される3つの温度センサの
 時定数(90%)を測定します。
 ①テフロン被覆T熱電対(クラス1):先端樹脂キャップ付
 ②測温抵抗体(シースタイプ3.2φ)
 ③温度データロガー(測温抵抗体)
HP28701.jpg
[実験の概要]
1.まず、沸騰したお湯(100℃)と水(20℃)を準備する。
2.3つの温度センサを水(20℃)に浸す。
3.水→お湯(100℃)に、各温度センサを移動させ、100℃になるまで
  データを収集する。
4.収集した温度データから時定数を求める。
今回の時定数は、20→100℃での90%の変化なので、
「92℃」に達する時間になります。
[測定システムの概要]
HP28720.jpg
[測定結果のグラフ]
HP28711.jpg
□ 測定結果から
 ・時定数(90%)が最も短かったのは②測温抵抗体で、6秒になった。
 ・時定数が最も長かったのは①テフロン被覆T熱電対(クラス1)になった。
 →熱電対が最も遅くなったのは予想外で、先端の樹脂キャップが
  影響していると考えられます。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
  異なります。

センサの時定数を知っておくことが重要と思いました!

>> このように、一般的に使用している3種類のセンサの時定数は、結構、
 値に差があるため、同じ場所の温度を短時間測定した時には、使用する
 センサによって測定温度が変わってしまうことが考えられますので
□ 使用するセンサ毎の時定数をある程度、知っておくことが重要になると
  考えます。

空気中のセンサの応答性はどうなるのか知りたくなりました。

>> 今回の実験は、センサを液中にいれた時定数を測定しましたが、評価試験の
  中には気中(空気中)の温度を測定する場合がありますので
■ 次回は、同じセンサを使って、気中の場合の時定数を測定してみることに
 します。
 →測定しました!(空気中)
※ 当社は、
 この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
 おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。