バリデーション@エヌケイエス株式会社 NKS

NKSバリデーション関連業務のエヌケイエス株式会社

ISO9001に準じた運用システム(QMS)でバリデーション(適格性評価)のサービスを専門にご提供

バリデーションに関する相談窓口
電話でのお問い合わせ
052-522-2184
メール送信フォームからお問い合わせ

No.61 オートクレーブでの熱浸透測定(実測結果)

オートクレーブで、対象を一定時間、高温状態にして滅菌する場合、対象のサイズや
全体の量により滅菌温度まで昇温に要する時間が異なります。
その為、確実に滅菌されていることを保証するためには、その工程を実際に使用
する状態での検証が重要と考えます。
今回は、負荷物の量・状態が異なる場合に、被滅菌物の温度がどのように推移するのか
その温度データを一例としてご紹介します。
 ~~〔滅菌〕とは?~~
  あらゆる微生物を完全に殺滅又は除去する状態を実現するための
  作用・操作をいいます。


1.温度測定の方法

1.1 測定に用いた温度センサ
以下の形状、タイプの温度センサを用いました。
温度センサ
1.2 測定条件
測定は以下の条件にて実施しました。
 ●オートクレーブ
  ・槽内寸法:Φ370mmの円筒型
  ・設定温度:122℃
 ●記録計(温度の測定)
  ・型式 :DR-230(横河電機製)
 ●PC(温度データの収集)
  ・データロギングソフトウェアはDAQWORX DAQ32Plus(横河電機製)
   記録計で測定したデータを10秒おきにPCにて収集する。
 ●温度センサの設置場所
  ◆パターン1:容量による温度推移の違い◆
   ①液体培地 20ml 
   ②液体培地 100ml 
   ③液体培地 1000ml
  ◆パターン2:負荷量の違いによる温度推移の違い◆
   a.少ない負荷量 (培地量合計200ml)
    ①液体培地 100ml
   b.多い負荷量 (培地量合計4000ml)
    ①液体培地 100ml
  ◆パターン3:測定対象による温度推移の違い◆
   ①液体培地 1000ml
   ②容器内の空間温度(半密閉培地容器)

2.測定した結果

2.1 [パターン1:容量による温度推移の違い]の結果

■測定システムのイメージ
熱浸透測定結果
■測定データのグラフ
オートクレーブ内の測定
2.2 [パターン2:負荷量の違いによる温度推移の違い]の結果

■オートクレーブ内のイメージ
熱浸透測定の結果
■測定データのグラフ
オートクレーブの温度測定
2.3 [パターン3:測定対象による温度推移の違い]の結果

■オートクレーブ内のイメージ
高圧蒸気滅菌器の熱浸透測定
■測定データのグラフ
高圧蒸気滅菌器の測定

3.上記の結果からいえることは

 □ 液体培地の容量が多くなるに従い、滅菌温度に達するまでの時間が長くなります。
 ● 従って、オートクレーブは事前に想定される最も厳しい条件(負荷物の量、内容等)で
   検証しておくことが、使用時の滅菌状態の保証で重要になると考えます。
 ● また、温度が高くなりすぎると滅菌物に影響が出る場合などは、少ない負荷物量での
   検証も重要と考えます。


▼関連「装置の実験データ」はこちら
 No.28 気相での温度センサの熱応答速度(時定数)
 No.29 センサの仕様による温度変動の違い
 No.30 試験に用いる温度センサの時定数(実測結果)
 No.32 オートクレーブでの熱浸透測定(実測結果)
▼このページの「メルマガ記事」はこちら
  メールマガジン第83号 [OQシリーズ]オートクレーブ内の各部温度の特質